茶の湯では、お湯加減のことを「湯相(ゆそう、あるいは ゆあい)」と言います。
立派な道具だてよりも
美味しくお茶をいただくためには
湯相が肝要である、とのことです。
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『南方録』には、
「一座一会の心、只この火相・湯相のみなり。」とあります。
湯を沸かすための
火の興り具合(火相)、
湯の沸き具合(湯相)に
特に気を配らなければならないということです。
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その日の天候により、灰の湿り具合が違うので、
お天気や湿度、そしてお客の動作の速遅を勘定に入れて
炭をつぎ、お湯を沸かすのは奥向きの仕事です。
亭主がお茶を点てるときに
煮えすぎぬように、また炭がたちすぎて
しんみりした釜にならないように
氣を配ります。
湯相を推し量るということは、
表からは見えない炭の配置を調整することです。
微妙な勘を働かせて
心を鎮めて炭をつぎます。
まるで、玄米炊きと同じだなぁ、と思うようになったのは
最近のことです・・・。
《羽田盆》
東山時代の貴重な四方盆。
わずか数グラムの軽い羽のような盆に
歴史の重みをずっしりと感じます。
盛り付ける菓子は
主菓子ではなく、干菓子であること。
陰と陽、陽と陰の微妙な押し引きがせめぎあうところに
均衡のとれた美を見たような気がしました。
「点前には強みばかりを思ふなよ
強きは弱く 軽く重かれ」
重いものを持つときに
重そうにすると不恰好。
軽いものを持つときに
軽々しく扱うと過ちが起こりやすい。
人とのお付き合いもまた同じこと、と思う。