朝茶事。
夏の涼しさを楽しむ茶事。
漬物と炊き立てのご飯、そして汁。
少しの肴と涼やかなしつらえでお酒を酌み交わす。
朝日が昇るころには茶事も佳境に入りいよいよ濃茶一服となる。
その前にくどくない甘みで見た目に涼しく清らかなものを菓子で表現してみた。
菓子の銘は『朝の露』(あしたのつゆ)。
はかない露の中も未来への輝きが宿っている、そんな想いを込めて名づけてみた。
先日から試作を繰り返しているの花火の菓子の寒天を材料にして
下半分は頭道明寺粉で食感を楽しめるように。
上半分は氷のような透明感を出し、アクセントに夏の日差しを連想させる金粉を使ってみた。
自作の菓子器『鳥獣戯画』のガラス皿に盛り付ける。
緑の笹に雫が光っているような演出で、緑の器に透明な錦玉羹が
ひんやりと涼を呼ぶように。
鋭角に切り出した氷室の様子を連想させるように。
続き薄でお出しするお菓子は虫籠器に盛って。
盛った干菓子は河藤製の割れ氷と青楓。
陽が高くなる前に薄茶で喉を潤していただきお客をお見送りする。
朝茶事はただただ「夏は涼しきように」と、こころして。