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玉三郎

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歌舞伎座千龝楽「京鹿子娘道成寺」を舞う玉三郎


坂東玉三郎。
奇跡の女形とよばれる歌舞伎役者。

2009年1月の歌舞伎座の舞台を最後に「鷺娘」を金輪際封印してしまった。
その理由はたった一つ。
一ヶ所だけ、体力的に踊れないところを自覚したからだと言う。
「その一ヶ所を誤魔化して踊れば、しだいに総てを誤魔化す踊りになるであろう。
そんなことは出来ない。」


あの美しくも切ない代表的舞踊はもう観ることはできないのである。

「鷺娘」最後の舞台を、中村勘三郎はひとり2階の照明室からその姿を見守っていたという。
その踊りは身震いするほどの出来栄えで、なんとも惜しく、またなんとも感動的であったと、
その気持ちを伝えたい一心で幕の降りた舞台へ勘三郎が駆け下りたとき、
玉三郎は床に深々と頭を垂れてお辞儀をすると、今度は舞台の隅々や天上へ向って
両手を広げて感謝の意を表していたという。

それを見た勘三郎は涙が止まらなかったという。

何かに対する畏敬の念を持つということは、己の生き方に強い意志を持つということであろう。

人様の人生を賭けた芸術や生き様を、
「いつか観よう・・・。」なんてのんびりした気持ちで先延ばしにしているということは、
己の人生の勝負どころを先延ばしにしている、
そんな風に思いながら・・・・・、の自分である。
by haijikg7 | 2010-12-20 22:19 | 本や映画や舞台や音楽のこと


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