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映画『しあわせのパン』

水縞クン「ぼくのほしいものはひとつだけですから」
りえさん「なに?」

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パンカフェ 『マーニ』 は北海道 洞爺湖畔にある。(公式サイトはコチラ

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パンを焼く水縞クン、珈琲をいれてお料理を作るりえさんがいる。
建物の外にパンを焼く窯と、そのための薪がたくさん積まれていて
庭には季節の草花や野菜も少し栽培していて
バンダナを首に巻いた羊のゾーヴァがメェメェないている。
2階にはしばらく滞在したい人のための小さなお部屋がある。

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焼きたてのカンパーニュに美しくナイフを入れる水縞クン
銅の匙で珈琲豆を量って挽くりえさん
いつものお客達と、ご近所の仲間と、遠くからきたお客

夏野菜バーニャカウダー
ゆりねときのこの小さいコロッケ
かぼちゃのポタージュ
スペインオムレツ
ローストチキン
ダッチオーブンで煮込む冬野菜のポトフ
北欧に似た「外国感」漂う北海道のお料理の数々。
フードスタイリストの石森いずみさんのセンスが光る。


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また衣装も愉しい。
アイボリーのシャツに分厚い生地のたすき掛けエプロンでパンを焼く水縞クン
柔らかな鼠色のカーディガンをはおるりえさんは
小さなボタンがたくさんついたリネンのブラウスを着ている。
きなりに水色の縦じまのコットンシャツにロールアップしている黄土色のワークパンツ姿の水縞クン
藍色のエプロンドレスにクシュっとした砂色のブラウスのりえさんの足元は
革職人さんが手作りされたような質実剛健とした靴。
個人的に大好きなevam evaや、(買ったことはないけれど)ebagosの籐バッグなど
スタイリストである大野伃佑子さんの感性も素敵だった。

 
 * * *


スロウな時間とスロウな気持ち
温かで幸せで豊かな自然に溢れた映画と思いきや
どこか影を感じる空気が漂う。

その影とは黒くてどんよりしたものではなく
なにかしらすっきりしない、そう、おひさまを薄っすら隠すような薄曇り。
ちぎれながら流れる雲が時々太陽を隠してしまうような移ろいの影である。

「水縞クン」と「りえさん」
互いにそう呼び合う夫婦。
二人の過去は多く語られていないけれど
天涯孤独で生きることがどうしようもなくタイヘンだった東京のりえさんに
プロポーズした札幌の水縞クンが
「自分の好きなことを、好きな場所で、好きな人と」一緒にして過ごしたいんだと
洞爺湖畔の月浦という町に誘ったことが窺える。

二人はいつも穏やかに暮らしているのだけれど
いつも微笑みをたたえているのだけれど
ニコニコと笑っているのではない。
それはりえさんがお客にふと打ち明けるように漏らす

「私もね、無理して笑うこと あるんです」

という一言が雄弁に物語っている。
それを背中越しにパンをこねながら聞く水縞クンは空を見つめる。




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涼やかな夏の風に吹かれながらファーマーズマーケットに大きな籠を二人で持ってでかけ
秋には手袋をはめて栗拾いに行きオーブンで焼いてパン生地に混ぜ
雪深い原っぱを歩く時は、水縞クンがぎゅっぎゅっと新雪を踏みしめて
その足跡どおりにりえさんがそっとついてゆく。
そこにはゆるぎない信頼があり、優しさがある。

けれども二人は幸せの湯船につかってはいない。
何かが、決定的な何かが欠けてる。

丸い月を求めているのに、いつもどこか欠けている月のように。

それでもお客に
「こんなに美味しい珈琲がいつも飲めていいですね」
と言われると
「いいですよ」
と静かに微笑む水縞クン。
「こんなに素敵なところで暮らしていたらいいですよね」
と言われたら
「ええ、いいです」
とはにかむ水縞クン。

けれど水縞クンは静かに言う。
「ここの景色って、毎日変わりますよね。きれいなだけじゃないんです」と。


全体を通して優しく清々しい空気が流れているのに
幸福感がたっぷりつまっている映画ではない。

みんな月の満ち欠けのように毎日何か物足りなく感じながら生きている。
この映画のシンボルでもある「月」の波動が
言動や心に微妙に作用するところが実にいい。
長く光の影を落とす洞爺湖のさざ波と満月が墨色の映像となって語りかける。


水縞クンのメインテーマである「カンパニオ(仲間)」。
夫婦、恋人、家族、ご近所、友達。
いつも自分は一人ではなく、誰かと何かを分け合うことで
何かを膨らませている。
水縞クンが焼いた焼きたてのパンを二つにわるシーンが随所に登場し、
そのたびにパンから湯気が上がる。
自ずと笑みが浮かぶ人たち。

「わけあうたびに わかりあえる気がする」

映画の軸として食事をするシーンが多く登場する。
美味しそうな食べ物にも惹きつけられるが何よりも「食事を共にする」ことを
繰り返し描くことでわかりあっていくことの
ぎこちなさ、たどたどしさがたまらなくいい。

そしていつものお客にも、ご近所の仲間にも、遠くからのお客にも食事をふるまう二人が
映画の終盤で自分たちだけのために窓際のテーブルで食事をするシーンがある。

ホワイトアスパラとグリーンアスパラのコンソメ
揚げじゃがいものミルフィーユ
お豆の白パン

北海道の春の宵の薄暗さの中で
水縞クンがパンをわってりえさんに手渡す。

映画全編を通じて語られている「大切なものはひとつだけでいい」という物言わぬ観念が
ここで明確に言葉となって語られる。
さらりと、わからないぐらいにすんなりと。



Cafe「マーニ」に春が来る。
デッキで水縞クンの髪を切るりえさん
同じようにデッキで羊の毛を漉く水縞クン
去年となにもかわらない春である。
カップに薫り高い珈琲を注ぐりえさん
焼きたてのパンにナイフを入れる水縞クン



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2周年を迎えるCafe「マーニ」からのささやかな贈り物を二人でラッピングする。
周囲を癒しているようにみえる二人は本当は周囲に癒されている。
カンパニオ。

2年の歳月が二人にもたらしたものがある。

最後に初めて大声で叫ぶ水縞クン
いつもとは違うよそ行きのピンクのワンピース姿のりえさん


エンディングに矢野顕子さんと忌野清志郎さんによる歌がいつまでも余韻をひいた。
「ひとつだけ」という歌。


離れている時でも わたしのこと
忘れないでほしいの ねぇ おねがい
悲しい気分の時も わたしのこと
すぐに呼び出してほしいの ねぇ おねがい


どのシーンで泣くとか
どのシーンでグッとくるとかじゃなく
いつの間にか、のどの奥に小石が詰まったようになって
気が付いたら涙が溢れていた。

そんな映画『しあわせのパン』。
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by haijikg7 | 2012-02-21 21:00 | 本や映画や舞台や音楽のこと | Trackback | Comments(6)

マキマロさん

starnetさんで出逢ったマキマロさんの染物。
マキさんとマロさん。
ご夫妻がお二人で染め、縫われている作品の数々。
ちょうど春ものがたくさん入荷していました。



ラックで染めたドルマンワンピース
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ほうじ茶で染めたリネンのストール
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たくさんの色の中から最初に手にとらせていただいたものを
思い切って分けていただきました。
とっておきにするのではなく、
普段にちょっと出かける時に袖を通し、
羽織らせていただこうと思います。



  * * *

マキマロ発行 『今時記』より


春の大きな大地の揺れと共に、心も大きく動かされ、
何度も声をあげて泣きました。
たくさんの苦しみ、悲しみ、多くの人々が同じように
涙を流したことでしょう。
その涙で、地球が浄化されないものかと願いながら・・・。
 私達は3月14日の朝、2人の子供と友人家族を乗せ、
千葉の鴨川から岡山のマロの実家を目指して
車を走らせました。
その時は、これ程までに大きな事故になるとは思いもよらず、
じっとしてもいられないので、今まで行ったことのない瀬戸内の小さな町や、
オリーブの木がある丘を散歩したりして過ごしました。
その時に、ふとなにか、この辺りに新しい光を感じました。
これから先、どうなるのかわからない不安がありながらも、
西の方に住んでみるのもおもしろいかもしれない、と思ったのです。

(中略)

瀬戸内の家に来てからは、染めのやり方が変わりました。
ひとつは、古い井戸があり、山水をそのまま使うこと。
真夏でもキンキンに冷たい水で、染め上がりの色がパキっと
鮮やかになりました。
そしてもうひとつは、火。
採ってきた植物を薪の火で煮だすこと。
家の周りの木を切って薪にしたり、大工さんに古材をもらって
薪にしたりしています。
時々古い松の板があったりして、それはまた家を直す時に使おうと思い、
大事にとってあります。
水と火と木。
あたり前のエネルギーですが、大事に使っていく事で
染め上がりの色にもその自然の力が加わるような気がします。

(中略)

地中海の気候と似ているここは、オリーブがたくさん実る。
この冬の間にいろんな実を植えたい。
オリーブ、レモン、イチジクに・・・・・。
いつかオリーブの葉で染めができたらいいなぁ。  


お2人のお子さんは5歳の虹太郎君と、1歳の胡花ちゃんというそうです。
可愛いな。
 
  
  * * *


マキマロさんご夫婦は、天然の糸で織った布を野草、木の皮、実などで
何度も重ね、一枚一枚手で染めて洋服を作っているそうです。

マキマロさんの染めには息吹が感じられます。
それは草や実や花の発色がきれいだというだけでなく、
風や光や曇り空の仕業ではないか。
そんな空気を感じさせる染めです。

実際着てみると気持ちがよくて、身体に優しい。
スタイルよくデザインされていても、ちっとも締め付けない。
ほんの少しスカートのすそ丈が前と後ろとでは長さが違っていて
歩くと、あるいは階段を上がった時なんかも、
ふわりと、すらりと見えるように縫われている。
こんな私でさえ・・・。

春がやってきています。
寒い日もありますが、春はやってきているんだと思った休日でした。
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by haijikg7 | 2012-02-20 23:45 | お洒落 | Trackback | Comments(2)

starnet

前々から行きたいと思っていたstarnet。
本店は益子に、その支店が東京と大阪にあります。
大阪は瓦屋町という少し繁華街から離れた静かな問屋街に
お店を構えられています。

同じエリアに暮らしていても「さぁ行こう」と思わなければ
行けない場所があります。
最近はむしろ、そんなところのほうが多いように思います。
便利にアクセスできる場所には便利なものが溢れていて
それはそれでとても重宝に感じます。
しかし車で少し足を延ばしたり、いつも利用しない地下鉄の路線に乗り換えて
遠回りをするのも贅沢な時間の使い方だと思います。
starnet大阪支店は私にとってはそんな場所の一つでした。

通りに面してカフェと雑貨販売のスペースがガラス越しに覗けて
お店に入るまでに少しわくわくどきどきする気持ちを愉しみました。
そういえばそんな風に入店を愉しんだのも久しぶりのことでした。
ひとりで訪れるとこういう愉しみ方ができて、それも好きだったりします。

starnet公式HPはコチラ → くりっく☆
starnet大阪支店blogはこちら → くりっく☆
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調味料やお豆や食器といっしょにお茶も並んでいました。
効能によってブレンドが違うようで、この日は10種類のお茶がありました。
「寝つきにくい時に飲むお茶」
「胃腸の調子を整えたい時に飲むお茶」
「だるくて無気力な時に飲むお茶」
いろいろでした。
お友達のことが頭に浮かんで数種類求めました。




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少し奥まったところに隠れるように階段があって2階に続いています。
階段を登りきるとそこには「マキマロ」さんの染め物の世界。
木の実や草花が清らかな水と空気によって奏でられた色の数々にため息。
マキマロさんとの衝撃的な出会いでした。

そのことはもう少し詳しく書かせてください・・・。(次につづく)

写真はすべてiphoneにて撮影
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by haijikg7 | 2012-02-20 23:30 | 日々のこと | Trackback | Comments(2)

上級幸せコース 第10限目 (お寿司の回)

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昨日、母にちらし寿司を届けました。
実は上級幸せコースのカリキュラムの発表があったときから決めていました。
内朱の曲げわっぱにちらし寿司を盛りつけて母に届けようって。
理由は特にないけれど、あえて言うなら「春を届けてあげたかった」から。
だから、立春をすぎたこの季節に教わって、本当に本当に嬉しかった。
そして母は3月初旬生まれ。
今度は巻きずしも、巻こう。
うまく巻けるかな。上手に切れるかな。

花弁生姜がピンクになったらいいのにな。


   * * *


京都のむそう塾の2月のカリキュラム。

・ちらし寿司
・巻きずし
・蛤のお吸い物
・菜の花の辛子浸け


たくさんの復習が詰まっています。
玄米を炊くこと。
白米を炊くこと。
酢を合わせること。
桂剥き。(随所に桂剥き!)
細く刻むこと。
細かく刻むこと。
同じ大きさに刻むこと。
さっと湯がくこと。
じっんわり湯がくこと。
陰性に煮ること。
陽性に煮ること。
水分を保持すること。
水分を放つこと。
焼くこと。
出汁巻き。
温度を管理すること。
灰汁を考えること。
巻くこと。
etc・・・。



朝11時半からお料理を始めて、途中の試食が17時15分。
それからさらに実習。

むそう塾始まって以来の一番の長丁場でしたがそれを感じないほど夢中になりました。



嬉しかった。



「お寿司のお弁当ができたら一人前」、と以前どこかで聞いたことがある。
「ばら寿司は面倒だから」と母がよく言っていたっけ。
(私の暮らす地域ではちらし寿司をばら寿司とよびます)

簡易な材料で何度かやったことはあったけれど
どこかもっちゃりしていた私のちらし寿司。
それがこんな風にできるなんて、本当に嬉しい。
告白すると、私は涙がでるぐらい嬉しかった。


それと同時に課題も盛りだくさんになった。
どれもこれも中途半端で仕上がっていない。

さぁ、やろう!
本当にそう思った2月のむそう塾だった。


・私たちのクラスの風景はコチラ → くりっく☆
・巻きずしの詳しい写真はBクラスを → クリック☆
・出汁巻きと花弁のお宝映像は美風さんの新しいカメラ Canon EOS 7D で! → くりっく☆
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by haijikg7 | 2012-02-20 06:00 | むそう塾 | Trackback | Comments(4)

ものすごくうるさくて ありえないほど近い

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今年にはいってまだ映画館に足を運んでいない。
自分が「観たい」という映画がなかったという理由が一番大きいけれど
録画したテレビ番組やオンデマンドで放映されている映画が充実していて
リビングシアター(要するにテレビ)で充分だというのも理由のひとつ。


「ものすごくうるさくて ありえないほど近い」というこの映画は
2月18日(土)に全国で公開される予定。

「9.11.に大好きな父を亡くした11歳のオスカー。
ある日、父のクローゼットから1本の鍵を見つけた彼は
それを父が残した最後のメッセージだと信じて
鍵穴を探すためにニューヨークの街に飛び出す。
オスカーがたどりついた真実とは・・・。」

前売りのチケットを購入して公開を待ちわびている。
私はニューヨークが好きなのだ。
トム・ハンクスが好きなのだ。
サンドラ・ブロックが好きなのだ。
「楽しみにしていて何が悪い?」と思って待ちわびているのだ。(誰も言ってないって)


けれどこの公開日(2月18日)には別の映画を観る予定。
待ちわびているにしては勝手なことをしますが、観るのは「しあわせのパン」。
前売りチケットをペアでいただいたので
大好きな大泉洋さんの俳優姿を愉しもうと思っています。

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好き好き、大泉洋さん(ここで告白)。
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by haijikg7 | 2012-02-17 23:00 | 本や映画や舞台や音楽のこと | Trackback | Comments(7)

む、紫のアノ子が!

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花を咲咲かせましたーーーーー!
長らく無言を貫いてきた左の紫(の予定)のアノ子が!!

もう  (の予定)  とは書きません。
ちゃんと紫の花が咲きました。

思えば長かったこの道のり。

28日目にやちゃって

主(私のことね)を恨んだこともありました

ちょっぴり涙ぐんだこともありました
でもその5日後に、こんなに綺麗なビロードのような花を咲かせました。

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一方、ピンクの次花ちゃんもふくよかな香りを放ち
順々に花を咲かせています。

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こんな風に並んで咲くことができました。
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by haijikg7 | 2012-02-09 20:09 | ヒヤシンス | Trackback | Comments(8)

お供え玄米

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今年は三回忌。

今も子供のころの出来事と
大人になってからの会話の端っこを
時々思い出すけれど
丸二年が早いのか遅いのかは
よくわからない。
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by haijikg7 | 2012-02-09 18:08 | 思い | Trackback | Comments(0)

立春の

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・・・ヒヤシンスです。

水耕栽培を始めて70日目です。
このピンクのヒヤシンス、どんな状況で育っているのかというと


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実はお正月に初花を咲かせてくれたコの妹です。
初花ちゃんが次々お花を咲かせて
ぐんぐん伸びて
すっかり枯れたあとの根元にひょっこりと出ていました。

初花ちゃんの妹なので『次花ちゃん』です。


一方、サカサマの紫(の予定)の右のあのコは・・・・。

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少しずつ芽を膨らませてはいるものの
育ちは遅々としております。

若干、涙ぐんでいる?

大切に育てています・・・・。


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by haijikg7 | 2012-02-04 12:12 | ヒヤシンス | Trackback | Comments(2)

由布院散策with母猫

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朝の由布岳です。
由布岳はいつも山の頂に雲を載せていて
すっきりとその姿を見せるのは週に1度か2度だそうです。
この日は朝から澄み切った空気が由布岳の上空にまで届いていて
実に美しい姿を見せてくれていました。



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街の中を流れている大分川。
自生のクレソンがたくさん生えています。
湯量が豊富な土地柄なのでしょう。
お湯が溝から流れ込んで川面から湯気が上がっています。
合鴨農法をされている農家さんが多いのか
鴨の泳ぐ姿を何度も見かけました。



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大分川の源流である金鱗湖。
湖底から温泉と清水が湧き出ているので
温度差のために湖面から霧が立ち上る光景が幻想的でした。
金鱗湖には鯉やすっぽん、
熱帯地方に住むグッピーも暮らしているそうです。
お宿では夕食にすっぽんを少しいただきました。




朝は母が楽しみに観ているNHKのドラマ「カーネーション」の時間まで
お昼はのんびりとお買い物をしながら
夕方はお夕食までのひと時を
ぶらりぶらりと散策三昧でした。
母はまるで猫のようです。
立ち止まってはじっと眺め、
興味深そうに見てはゆっくりと歩きます。


1日目の夕方のこと。
温泉でぬくもったあと夕食まで少し時間があったので
また散歩にでかけました。
お宿を出る時あれだけ「靴を履いたほうがいいよ」と私が言ったにもかかわらず
「大丈夫。大丈夫。」とお宿の下駄で出かけた母猫。
案の定、30分も歩くと「鼻緒のところが痛い」と言いだしました。

やっぱり・・・。(心の声)

ちょうど街の中に人力車が客待ちをしていて、それに乗せてもらうことにしました。
お宿に戻る途中の道を少し遠回りをして
広がる田園風景とそれをぐるりと取り囲むようにそびえたつ山々に
沈む夕日を眺めながら俥の散歩を楽しみました。

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【由布院の地名の由来】
奈良時代に編纂された豊後風土記には、「柚富郷(ゆふごう)、郡の西に在り。
この郷の中にタクの樹、多に生いたり。
常にタクの皮を取りて以ちて木綿(ゆふ)に作れり。
因りて柚富郷といふ」と記されています。

平安時代には稲などの租税を収蔵する倉院が柚富郷に設置され、
以来、ゆふの倉院⇒ゆふの院⇒ゆふ院と呼ばれるようになったといわれている。
同時期の和妙抄には由布郷とあり、この辺りが由布院という地名の起源とされています。

昭和23年の町制施行により由布院町となり、
昭和30年には由布院町と湯平村が合併し湯平の湯を取って湯布院町へ。
平成17年、挟間町、庄内町との合併により由布市が誕生し、由布市湯布院町となりました。
(湯巡りinfoより抜粋)



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これと同じようなことを俥夫の青年は解説しながら俥をひいてくれました。



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上記の「タクの木」がこれと同じなのかどうか定かではありませんが、
俥夫の青年が教えてくれた「みつまた」の木。
この「みつまた」は和紙の原料で、その昔和紙を漉いてそれを細く裂き
糸にして服を織ったのだそうです。
和紙の原料が豊富に採れたこの土地を「布に由来する蔵のある場所」ということで
「由布院」と呼ばれたのだとか。
今現在はこの「みつまた」は紙幣の原料になっているそうです。


地名の由来や名所を語ってくれた俥夫の青年。
爽やかで颯爽としていてとても好感のもてる方でした。


母:私たち重いでしょう。ごめんなさいねぇ。
俥:全然そんなことないですよ。
母:お相撲さんとか乗せはったことあります?
私:(おいおい何を聞いてんの)
俥:ありますよ。奥さんや彼女と来られますのでねぇ。200キロぐらいになりますよ。
母:私じゃ無理やわねぇ。

母の尺度は常に「自分にできるかどうか」なのである。

俥:ちょっと無理でしょうねぇ(笑)自分でも真冬に大汗でしたから。
母:それで、おたくご結婚は?
私:(個人情報に抵触するなぁ~!ピピーーー!・笛)
俥:はい。子供もいます。
母:まぁ。お子達はおいくつ?
俥:1歳になったところです。日々成長する姿に教わることばかりですっ!!
母:まぁまぁ。お父さん大変やねぇ。
俥:もう可愛くて仕方ないですね。帰るのが楽しみなんです。


もちろん母猫は俥から降りて俥夫の青年とお別れするときに
「(これ、ビール一つしか買えないけれどっ!!)」
と何故か小声でお決まりのチップを渡していました。
俥:いただけませんっ!!
母:大丈夫!
俥:でもでもっ!!
母:ちょっとだけやからっ!!!

やると思った。(私・心の声)


こういうところも日常の延長で、母猫らしいなぁと思う旅のひとこまでした(笑)

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by haijikg7 | 2012-02-03 19:00 | | Trackback | Comments(11)

母と訪れた由布院

母と旅に出ました。
睦月晦日。
九州は大分由布院へ。

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すっきりと晴れ渡った由布岳を眺めながら3日間を過ごしました。

たった2泊3日でしたが、充分過ぎるような時間でした。
景色を見て
お料理をいただいて
お湯に浸かって
買い物を愉しみ
懐かしい話や普段の話を徒然にして
特別に感動的な出来事もなく
気を遣うこともなく

母と娘とはそんなものなのだと思います。

1泊目のお宿の「玉の湯」さん。
5年前に訪れた時と変わらず迎えてくださいました。
お宿までのアプローチも
玄関も
バーやカフェも。

一番驚いたのは
到着後、暖炉のある談話室でお茶をいただきながら
チェックインの手続きをし
その時に夕食のお料理の中のメインになるものを
数種類の中から選ぶのですが
その数種類の選択肢(お料理)が5年前と寸分たがわず同じであったことでした。
翌日の朝食もほぼ同じメニュー。

本当のところ5年前の記憶なのでかなりおぼろげになっていたのですが
メニューの字体や
お料理のお味や
支給してくださる係の方の物腰など
実際にもう一度体感してみると
「同じだ」ということがわかり思い出されました。

「いつもそこにある」

そんな安心感を感がありました。

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2泊目の「無量塔」さん。
このお宿も5年ぶりでした。
お部屋の趣がそれぞれに違って宿泊が楽しみなお宿です。
お土産物屋さんやギャラリーが立ち並ぶ街並みから離れて
少し山に入った静かな場所にあり
山荘の趣深いお宿です。
ここではお買い物も観光もせず
二人でエステを愉しみ
ただただのんびりとお部屋やバーでくつろぎました。

母はエステの途中で居眠りをしていたのに
エステが終わると「全く眠っていない」と言い張り
それがまたいつものことで
(といっても、いつも二人でエステを愉しんでいるということではなく
例えばマッサージやちょっとした移動の車内での居眠りということなのですが)
場所が変わっても人は変わらないなぁと
可笑しくて仕方ありませんでした。


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こんな風に特別に思い出ができたという旅ではなく
日常のほんの延長に旅があった、という旅でした。

母はどこにいても家族や孫やご近所やお友達のことを話していて
その世界にゆるぎなく暮らしている住人で
それがいつもと何も変わらない
当の母本人さえも気づいていない「幸福」なのだと思いました。
その幸福を築くまでに
随分長くかかったのか
そんなことを考えることもなく今まで生きてきたのか
尋ねてもきっとわからないだろうなぁというぐらい
フラットで
凪で
ただただ「母」を全うしていました。


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昭和13年 寅年生まれ。
母は今年74歳になります。
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by haijikg7 | 2012-02-03 17:35 | | Trackback | Comments(4)