十二段屋

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京都 丸太町にある十二段屋さんに行ってきました。
「お茶漬け」のお店として有名なのだそうですが、そこについている出汁巻きがことのほか美味しく人気があるのだそうです。
お肉料理や会席もあるようですが、お昼にここを訪れる方はみなさん出汁巻きがついたお茶漬けを注文されるのだとか。

予約制をとっておられないとのことで朝の開店時間に合わせてお伺いしたらもう長蛇の列。
きっと開店前から大勢のお客様がお越しになっていたのでしょう。

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そして待つこと1時間10分。
ようやく店内に。
芸能人だけでなくお料理を研究されている方々、そして秋篠宮様ご一家のお写真もありました。
ここを紹介してくださった方がおっしゃっていたとおりです。
京都御所から目と鼻の先にあるこのお店ですが、宮様が繰り返しお越しになるのはもちろんお近くであるという理由からだけではないと推察されます。
いったいどんな出し巻きなのでしょうか。
最近出汁巻きを練習している私はこちらの出汁巻きをいただきたくてお伺いしたのです。

出し巻きは本当に奥が深いお料理だと思います。
お出汁の量や巻くスピードや火加減、お鍋の振り方でお味が全然違ってきます。
どれだけ練習してもこれでいいということがありません。
(単に上達が遅いのですが・・・)
練習を始めて約2ヶ月半。
当初に比べると時間も巻き上がりもなんとか人様に食べていただけるようになってきましたが、
それでもまだまだ天井は高く、やってもやっても到着点は近づくどころか遠く感じる、そんな奥行きを感じるお料理です。


十二段屋さんのお品書きは主に3種類。
「元祖お茶漬け」
・すずしろ 1,050円
・水菜(「すずしろ」に季節の一品がついたもの) 1,890円
・菜の花(「水菜」にさらにお刺身がついたもの) 2,300円

基本の「すずしろ」には出し巻き、赤だし、お漬物、ご飯(お昼はおかわり自由)がつきます。


出し巻きだけでどれだけ満足できるのか。
私はそれも知りたかったので「すずしろ」をお願いしました。

先日の拙茶事(お薄つきお食事会という簡単なお茶会ですが)では出汁巻きを献立に入れてみました。
煮物椀や和え物などもご用意したのですが、お客様から
「出し巻きがとっても美味しいからこれから『出し巻き茶会』を愉しんだらどうでしょうか」と
ありがたいご提案をいただきました。
今まで拙宅で茶事をしたいという気持ちはあったのですが、茶懐石は高い技術と準備にも時間が必要でとても自分ひとりではやりきれないだろうと腰が引けていました。
むそう塾を修了したら自分なりの茶事をやってゆこうと思っていたところですが、まずは自分が力まずにできるものからご用意させていただけたら億劫ではなくなるし、回数もこなせるように思いました。
やはり茶事は回数です。
そして長く続けることができるかどうか。
一番大事なのは亭主が真に楽しめるかどうかです。
一度や二度、頑張ったところで本当に力がつくものではありませんし、ましてや亭主も楽しめるかとなるとそれだけの経験が必要だと思います。

『出し巻き茶会』

「これなら自分にもできそう!面白いんじゃないか!」と思いました。
けれど誰もやっていないような茶事をするにはそれだけの印象深さが必要です。
「とびきりの出し巻き」
これでなければ「出し巻き茶会」にはなりません。


そして出し巻きだけで勝負されているお店の味や如何に。
色んな意味で楽しみです。

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これが「すずしろ」です。


そしてこれが十二段屋さんの出し巻き。
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控えめなお味でお出汁の香りが効いています。


おかわり自由のご飯はおひつで供されます。
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つややかで甘味のある白米。
柔らかすぎない、ぴんと立った銀シャリでした。
いいお米だと思いました。

お漬物。
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お茶漬けの献立だからでしょうか。
刻み系のものが多かったです。
味や香りもそれぞれに違ったものが楽しめるように工夫されていました。
全部で八種類。


もしも私が出し巻き茶会をするなら、今よりもご飯をもっと美味しく炊けるように、そして糠床をもっと上手に育てなければいけないということが判りました。

肝心の出し巻きですが、私はむそう塾で中川さんに特訓していただき、今も自宅で毎日のように練習をかさねているのですが、こちらの出し巻きと中川さんの出し巻きには大きな違いがあるように感じました。
それは食べたときの舌触りでした。

中川さんは五感(時には六感)すべてで「美味しい」と味わえるものを作れるようにご指導をされています。
お料理の前に玄米炊飯でそれを徹底的に教えておられます。
それは食べたときだけでなくそのあとの体調も含めてそれがいいのかどうかを判断されます。

出し巻きもお味よりもまずは食べたときの舌触りを何度も仰います。
多分人間の味覚は舌に触る温度や感触で味を左右することが多いのだと思います。
中川さんは焼き上がりの見た目と同じぐらいに出汁巻きを切った時に中がどうなっているかで微妙なご指導をしてくださいます。
穴が開いていないか、巻き目にクレープ状の層ができていないか、お出汁が染み出さないかなどなど。
それによってお鍋が振れているか、巻くときの火加減や速度、油の量などについてご指導くださいます。
出し巻きを切った断面、それは食べたときにしか判りえない「舌の判断」の範疇です。
卵とお出汁と醤油と油、火加減と巻く速度。
それらが調和したときにふんわりとした出汁巻きが完成します。
十二段屋さんの出し巻きと中川さんの出し巻き。

私は中川さんに教えていただいている出し巻きで勝負しよう、できる!

と思いました。

それにはもっと練習を重ねなければと改めて思いました。
私の練習はまだまだ続きそうです。
多分、ずっと終わりません。
もしも『出し巻き茶会』を卒業して次の面白いことを見つけても、きっと出し巻きの練習は終わることがないような気がします。

十二段屋に行った収穫はそんな自分の発見でした。
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by haijikg7 | 2012-05-06 08:30 | いただきます | Trackback | Comments(4)
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Commented by るき at 2012-05-06 21:49 x
はいじさん、こんばんは。
何だか突き動かされるように、コメントをしています。

上級幸せコース終了後、どこに歩みを進めるのか。
そんな姐さんの、力強くてきらきらした思いが伝わってきたからでしょうか。

終わりだけど終わりじゃなくて、始まり。
姐さんは、ちゃんと始まりにできるようむそう塾で過ごしてきたんだと思ったのです。
修了おめでとうございます。
姐さんの思い描く茶事が、いつかカタチになりますように。

いつか姐さんの出汁巻きが食べたい!と切望する不肖の後輩(笑)でした。
Commented by haijikg7 at 2012-05-07 00:23
るきちゃん
こんばんは。

上級が終わっちゃいました。
そして自分の道が始まっちゃいました。

この連休に実家から風炉や釜などもマンションに持ち込みました。
今までは鉄瓶でお点てしていたお茶がついに釜に。
上級修了したんだからもうやることはひとつです。

そしていつるきちゃんが来てくださるのかとても楽しみです!
Commented by HarukoB1 at 2012-05-08 01:35
「出汁巻き茶会」!
いいアイデアですね。
こんなに努力を重ねて、出汁巻きの研究をなさってるはいじさん、
バラ色の未来が見えます!
すばらしい、、、
それにしても出汁巻きって難しそうですね〜
Commented by haijikg7 at 2012-05-08 23:18
はるこさん
髪をお任せしているヘアサロンのオーナーさんに「あなたはね、もう誰の言うことも聞いちゃダメ!人の言うことを聞いてもろくなことがないわよ!」と言われてから(笑)出し巻き茶会の草案を練っていました。
あ、オーナーさんにそういわれたのは3月の頃です。
「あなたみたいなトリッキーな人、当たり前のことをやっても仕方ないでしょ!」ですって。
褒められてる気がしないのですが、すごいお褒めの言葉だと思って頑張ってみます。
出し巻きは取り組み甲斐のあるお料理ですねぇ。
そんなことちっとも知らずにずっと「美味しいねぇ」って食べるばかりの人生でした!(笑)


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