唐墨作り

一昨年昨年今年と3年続けて唐墨を作りました。
3年間同じ製法で作り、それなりに出来上がっていたので満足していたのですが、
ここにきて「もっと美味しくできるんじゃないか?」という喰い気探究心が頭をもたげ、
製法を変えてチャレンジすることにしました。

新たな製法は初めての試みで手探りの部分もあったので、
途中、何度か不安を感じるシーンがあったもののなんとか最後まで仕上げることができました。

惜しむらくはボラの真子の品質です。
特上のものが入手できませんでした。
サイズも不揃いで、輸送中の打ち身による皮の破れもあり、
大きさも今までの真子と比べると一回り小さかったのですが、
仕上がりはそこそこいいんじゃないか、という出来栄えでした。
そこで、来年のために記録を残そうと思います。







これが生の状態です。
動脈が走っています。
この動脈と、そこから派生する細い血管に針を打ちます。
いわゆる「血抜き」作業です。
血管以外の部分に針を打つと中身の卵が表面の薄皮を破り、
破裂する原因になるので、慎重に。

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慎重に、そしてしっかりと針を打ったら氷水に浸けます。
生ぬるいと血が外に出てくれません。
血が真子に残っていると最後まで臭いが抜けず、仕上がりも美しくありません。
氷水に漬けて、そのまま冷蔵庫で1日置きます。

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1日(正確には20時間)置いたらすっかり血が抜けています。
動脈はもちろんのこと、細い血管からも血が抜けています。

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血抜きが終わったら、そーーっとバッドに移します。
ここで手荒い扱いをしたら真子に傷がつきます。
真子が一番柔らかい時です。
そーーーっと、そーーーっと・・・・。
そして塩漬けにします。
結構たっぷりの塩。強塩(ごうじお)というそうです。
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塩漬けしにて冷蔵庫で1日寝かせるとありえないぐらいに水分が出ています。
真子が自分の水分の中でたぷたぷと浸かっている状態です。
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その水分を捨てて、もう一度塩をまぶします。
真子は少し塩で締まってきていますが、まだまだそーーーっと扱います。
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ここで、1週間塩漬けにする方もおられるようですが、
私は半日漬けにしました。
なぜならこの後、海水程度の塩水に浸けて塩分を抜く「けだし」という作業があるのですが、
しっかりと1週間塩漬けにするとけだしも長時間必要なわけで、
あまり手をかけ過ぎるのはどうだろう・・・、と判断したわけです。



これがけだし状態です。
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半日もけだしすると、締まった真子が再度柔らかみを帯びてきます。
次に酒に浸ける行程があるので、あまりにもけだしし過ぎると
塩気がなさすぎる仕上がりになりますし、
けだし足らないとしょっぱくなります。
つまりええ塩梅を手触りで判断します。
そこそこの感触になったところで酒に浸けます。
今まで焼酎に浸けて仕上げていたのですが、今回は清酒を使います。
さて仕上がりにどう影響しますやら。
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清酒に2時間浸けた段階で真子を触るとかなりプリンっとした感触です。
少し酒を舐めてみると真子からでた塩分も程よい感じです。
先にたっぷり1週間塩漬けにした場合は酒漬けも1週間するということですが、
今回は塩漬け期間が短かったので、酒漬け時間も短いです。
それを干したものがこれ。
いい艶です。
清酒のせいでしょうか。
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干して1日目は真子はまだ柔らかいのですが、丸1日経過すると皮に張りがでてきて、
扱いも楽になってきます。
色艶がますますいい感じです。
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こんな風にして部屋の中でずっと扇風機を回し続け、時折裏表をひっくり返して約1週間。
最後は網を被せて空っ風の屋外に半日干して仕上げました。


仕上がりは前回までのものよりも透明度が増し、まさに琥珀色になりました。
真子にもよるのでしょうが、やはりこの方法のほうが色が綺麗に仕上がります。
肝心のお味ですが、前回のものはコクがあり、
今回のものはしっとりとした滑らかさがある、といったところでしょうか。

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お友達やお稽古事の仲間にもらっていただき、自宅には小さなのが10個残りました。
それを人づてに聞いた人が「分けてほしい」と言ってくださり、
今では我が家には特別に小さいのが一つだけになりました。

いやはや塩分と酒の塩梅がまだまだ難しいのですが、
この方法でこの冬にもう一度作ってみようかな、と思います。
いい真子が手に入ったら、再度。


(最後まで読んでくださってありがとうございます。
どうか、こんな私をそっとしておいてください・・・。)
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by haijikg7 | 2011-12-28 23:00 | いただきます | Trackback | Comments(8)
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Commented by マクロ美風 at 2011-12-28 23:53 x
はい、そっとしておきます。
(お つ か れ さ ま)
Commented by haijikg7 at 2011-12-29 00:03
マクロ美風さん
ありがとうございます。
(きっとまだやるつもり?わたし・・・。)
Commented by さっこ at 2011-12-29 01:22 x
(こんばんは、はいじさん。そっとコメントです。)
ひとつのことにまっすぐ丁寧に向き合うはいじさん、かっこいいと思いました。
そっとそーっと触れているところを想像して、やさしい気持ちになれました。
すてきです。
Commented by こるぷん at 2011-12-29 09:02 x
工場長、お勤めお疲れ様でした。
なんだか、ぼらっちの色の変化を見ているとアルムおんじの
チーズ作りを見ているようですナァ。
綺麗な色の変化を拝見させていただき、ありがとうございます。

タッパーの多さにびっくりしました。
いったい、どこにこんだけの数のタッパーを綺麗に仕舞い込んで
いたのでしょうか?!私なら、雪崩起こしているよぉ(@_@;)
流石!お片付け上手ぞなもし、と違う方でも
改めて感心させてもらいました。
Commented by haijikg7 at 2011-12-29 17:20
さっこちゃん
不気味な(!)写真の記事にコメントをありがとうございます。
すっかり変人になっている今日この頃です。
(そして次の唐墨の分も、今日予約してしまった・・・・。こっそり告白。)
Commented by haijikg7 at 2011-12-29 17:23
こるぷんさん
おんじのチーズのように濃厚でしょうか。
味をみてください。
いずかたともなくあらわれるタッパーとバット達(笑)
毎年この季節を待ってくれています。
我が家のキッチンの片隅の奥の奥で。
こるぷんさんもせっせとたくさんのお片付けをされている模様で、私もさらに刺激を受けています。(ツイッターで)
すっきりと新年をむかえましょうね。
(新年の前に唐墨で乾杯だす!)
Commented at 2011-12-29 17:52 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by haijikg7 at 2011-12-31 09:58
2011-12-29 17:52 鍵コメさん
コメントをありがとうございます。
お互いにいつも精進の気持ちを忘れずに一歩ずつの進化をしたいですね。
いつもありがとうございます。


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