今年も色んなことがあった。
おおかたのことは、楽しかった。 悲しいこともあった。 嬉しいこともあった。 旅に出たり、熱を出したり、一生懸命仕事もしたし、遊んだし。 そして12月に入り、ひどく大きな喧嘩をした。 相手は母だった・・・。 親子喧嘩のきっかけなんて、だいたいがつまらないことで、 たいしたことじゃない。 でも、そのたいしたことじゃないことが結構積もり積もっていたのか、 導火線に引火して大爆発を引き起こしてしまった。 * * * * * 私には二人の兄がいる。 昔からそうだったけれど、母は二人の兄のことがすごく気にかかるようだ。 その日、子どもじみた幼稚な出来事がきっかけで母娘喧嘩に発展した。 いや、正確に言うと喧嘩ではなく、私が一方的に母に腹を立てたのだ。 「お母さんはいいことはみんなお兄ちゃんと分け合って、 しんどいことは全部私と分け合おうとする。」 「お母さんは自分がお兄ちゃんにしてあげれることをわざわざ探してまでやってあげて、 私にはしてもらうことを残している。」 「お母さんは元気なときはお兄ちゃんに接していくけど、 しんどいときは私に頼ってくる。」 そして私が結婚しようとしていた頃のことや、父の闘病生活のことにまで話は発展し、 色んなことを母のせいにするかのように責めている私がいた。 本意ではないのに、そんなこと言ったこともなかったのに・・・。 いや、言いたいことはこんなことじゃないと途中で何度も思ったけれど、 導火線についた火は止めることができなくて、自分でも「何でこんなこと言うてるんやろ。」と思いながら、 それでも一度ついた火を消すことができなかった。 今更言っても仕方ないことを山のように積み上げて「さあ、登れ。」と言っているようだった。 おまけに話はコントのようにかみ合わなくて、途中で笑えるぐらい母と自分が「ズレてるやん!」と思うこともあったけれど、笑ってなんかやるもんかと踏ん張って一生懸命喧嘩した。 そして言いながら「お母さん、めっちゃ可哀そうやん。」と思ったけど、「でも可哀そうなのは、私やねん。」と自分を奮い立たせて言いたいことを言い切った。 いや、言いたいことじゃなかったのに言ってしまったのだ。 その後、母から手紙がきた。 短い手紙。 「頼りない母ですが、これからも宜しくお願いします。」 「だから!頼るならお兄ちゃんにも頼ったら?」と思ってまた怒ってる自分がいた。 と、同時に自己嫌悪に陥っている自分もいた。 また手紙が来て、その後もう1通手紙が来た。 そして最後は電話がかかってきて、 「もう前みたいに『お母さん、お母さん』って呼んでくれへんのやね。 お母さんが死んでも、もうお葬式にも来ないような気がするけど、それぐらい怒ってるんやね。 あなたの人生をいっぱい狂わせて、たくさん苦労させて悪かったね。お母さんのこと許してね。」 と言って電話が切れた。 「死ぬんちゃう?」と思ったけど、私も後に引けなかった。 でも本当に死なれたらどうしようと、一応10分後ぐらいに電話して、生死を確かめた自分が笑えるぐらい小心者だった。 母の妹(私の叔母)にそのことを話した。 「お母さん、はいじちゃんにはしんどいことばっかりを持っていくんやねぇ。」と話を聞いてくれた。 私も話しながらいっぱい泣いた。 泣くつもりなんてなかったのに。 そしてその涙は何のための涙かもわからないまま。 こるちゃんにも話した。 「今まで玄米炊いてお弁当作って、姉さんがお母さんにしてあげてたことで、お母さんが元気になって、喧嘩まで出来るようになってよかったですね。これからも、姉さんがお母さんにしてあげれることは色んな形で訪れるから、それまでは来たるべき時に備えて対処できるように準備だけしておいたらいいんとちがいますか。」 彼女は彼女なりに私を見て、的確な意見を言ってくれた。 そして、今までのいろんな事情を判ってくれている友達にも、かいつまんで話した。 その友達は私についても、母についても何も言わずに一言こういった。 「世界中の人が全員はいじちゃんのことを責めても、私だけははいじちゃんの味方になってあげる。 だからお母さんこと、もう許してあげ。」 その場では「ありえへん!」と言ったけど、後で泣けた。 本当は 「世界中の人がみんなお母さんを責めても、あなただけは味方になってあげないといけないよ、いや、なってあげるんやろ?」 って言われたみたいだった。 人生にはたくさんの出逢いがある。 全てが必然の出逢いだと思うようになったのは最近のことである。 親子、恋人、夫婦、きょうだい・・・。 近しい人の出逢いほど難しい。 いや、近しいから難しくなっていくことがあるのだ。 そんな難しい人間関係を、神様がわざと配置して人生を歩む訓練をさせてくれてはると思う。 他人様と接するときに苦労しないように、親子やきょうだいと先に出逢って人間関係の練習をさせてもらってる。 ふと亡くなった父や次兄のことが頭をよぎった。 母と共に助け合いながら過ごした父の闘病生活。 次兄を見おくったときのこと。 たしかにあの時、「あとは私にまかせといて!」と私は心の中で思っていたのに、 やっぱり私はまだまだあかんなぁと思った。 母と私の人間関係は、かけがえのない私の人生の歴史でもあるのに、 私はそれさえも引き裂いてしまうようなことを言ってしまった。 母と共に紡いできた数々の苦労を、自分から台無しにしてしまった。 本当に破れてしまったのだろうか。 ズタズタに、ボロボロになって修復もできないのだろうか・・・。 そんなことを考えていたら、数日後、母から電話がかかてきた。 なんのことはない、親戚の連絡事項だった。 私たちの喧嘩になど無頓着に、世間は動いており、そんなことをきっかけに話さざるをえないのだ。 ありがたいことに・・・・・。 当たり前のように普通に話して、普通に電話を切った。 すっきり解決するということもなく、わだかまっているということもなく、ただ普通になっていた。 後味として残ったのは、私はまだまだ人に育ててもらっている甘ちゃんだという事実。 もし、今度生まれかわらせてもらえるなら、 私が母を産んで育てたい。 私が父を産んで育てたい。 私が兄を産んで育てたい。 私を育ててくださった人みんなを育てれるぐらい大きな人になってご恩返しをしたい。 そんなありえなことを考えた。 人との交わりはすべて縦糸と横糸が織り成す模様。 親子でも、きょうだいでも、友達でも、恋人でも、職場でも。 私は、あたたかい布を織れる人になれるだろうか・・・。
by haijikg7
| 2010-12-30 22:10
| 思い
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