吹き寄せ椀

a0135439_15504188.jpg


先日、物足りなさを感じた「吹き寄せ椀」をもう一度作ってみる。

 ・蓮根饅頭
 ・栗
 ・百合根
 ・銀杏
 ・薩摩芋 
 ・人参
 ・焼き椎茸
 ・松葉牛蒡
 ・吸い地に葛をひいて露しょうが

これで3度目。
2度目はこんな感じ。
納得いかなかった。
盛り付けって本当に難しい。
a0135439_1559278.jpg


2度目のものを人に食べていただいたら「蓮根饅頭って全部すりおろさずに少し蓮根の歯ごたえが残っているほうが好き」と言葉をいただいた。
3度目は少し刻んだものも入れてみた。
これもまた一興という感じ。
色々作ってみるのは楽しい。
もっと時間があれば、あんなものもこんなものも作りたいけれど、と思う。


              * * * *

学生の頃、とある飲食店にアルバイトで1年半ほどお世話になったことがある。
そのお店では調理場に5,6人の料理方がおられたが、
一番若い人がこんなことを言っていたのを思い出す。

「自分が休みの日にアパートで作るカレーはめっちゃ美味いんです。
だからお店の賄で作れたら食べていただけるんですが、カレーはアカンので。」

そのお店では香りの強いものは賄で出なかったと記憶している。
「休みの日でもおうちでお料理してはるんですか?」と問うと、
「自分の作りたいものは店では作れないですから。」とおっしゃっていた。

アルバイトの私に丁寧に喋ってくださっていたのは彼が二つ年下だったから。
調理場で一番下っ端の彼とアルバイトの私はあまり話す機会もなかったけれど、
会社の方針でお昼と夜の営業の合間に英会話講習を一緒に受けたり、
お店の隅っこで彼が椅子を並べて仮眠している隣で私がナプキンを折っていると、
「スミマセンが○○時になったら言ってもらえませんか?」と頼まれたり。

また、何かの作業の合間に立ち話をしたことが何度かあり、
彼がとても料理をすることが好きだということを知ったりもした。
その年の夏はお店で作るお口直しのシャーベットよりも、
彼が自宅で作ったシャーベットのほうが良い出来栄えだったことや、
お給料は包丁や本を買ったり自宅で作りたいお料理の材料を買ったりするとすぐなくなることや、
先輩の料理方の人よりも実は自分のほうが○○は得意だと思っていることなどを
言葉少なく話してくださって、そのたびに私は感心したり驚いたり笑ったりしていた。

私が大学を卒業し就職し、しばらくしてアルバイト先であったそのお店にご挨拶に伺うと、
件の彼はお店を辞めておられていた。
体調を崩して入院されたことがあったのでそういうことなのかな、と思った。

お料理を作るお仕事をしていてもお休みの日もお料理をしていた彼のことは、
もう会うことがなくなった今も強く印象に残っている。

毎日あわただしく作る食事と、作ってみたいと思うお料理は違うことが多い。
たまの休日はそんなことをしながらふと懐かしいことを思い出したりするのも、
お天気が雨で、季節が秋だからかもしれないと思う。
[PR]
by haijikg7 | 2010-10-31 16:45 | いただきます | Trackback | Comments(7)
トラックバックURL : http://haijikg7.exblog.jp/tb/11501520
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by みーま at 2010-10-31 16:55 x
ひょっほ~、一番乗り♪

> そのお店では香りの強いものは賄で出なかったと記憶している。

どんなジャンルのお料理のお店だったのかわかりませんが、お店ににおいがつくからでしょうか、お料理を作られるかたの舌が鈍るからでしょうか。

お料理が好きなのに体調を崩して仕事を辞められるかた、多いですよね。それだけ過酷な職業ということなのでしょうか。

そのかた、今は何をされているでしょうね。毎日笑ってお暮らしになっているといいな、と心から思います。
Commented at 2010-10-31 18:48
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by haijikg7 at 2010-10-31 18:56
みーまさん
コメントありがとうございます。

多分強い香りがダメだったんだと思います。
お客様にわかるので。

その方が今も大好きなこのお仕事につかれていて、笑顔で幸せだったらいいなぁと思います。
私の勝手な思いですが。
そんな風に昔のことを思うことってありませんか^^?
Commented by m2style at 2010-10-31 21:07
はいじさんの努力のお姿、いつも励まされます。
明日から11月がスタート、私には大きな意味があります。
明日からの私に向かってすごく背中を教えていただいた気分です。
それにしても吹き寄せ椀、本当に美しいです。
でもまた更に次を目指されているのでしょう?はいじさん ^^
Commented by Kaguyahime at 2010-10-31 23:34 x
私も2年余り料理店で働いていましたが
プロの料理人の仕事は過酷だと思いましたね~。
私を指導してくれた料理人の方も、いつか行ったら
お店をやめておられましたが、よく病気をする人だったし
不況のこの時代ですので、元気にしているかなぁと
時々気になっています。

煮物椀、素敵にできていますね~。
確かにアレとアレがあれば再現に近いですね~!?
Commented by haijikg7 at 2010-11-01 07:05
Tamakoさん
今日からのスタート。
ますます輝かれるTamakoさん!
またブログでご紹介くださいますよね。
ワクワクしながら拝見します。
私もしっかり歩みたいと思います^^
Commented by haijikg7 at 2010-11-01 07:08
Kaguyahimeさん
アレとアレはご近所では簡単に手に入らないのです^^;
お料理のお仕事はやはり過酷なのですね。
この吹き寄せ椀を作ってお料理について色々考えました。
今まで人の作ってくださったものを(それがお店であっても)味わっていた、目に焼き付けていたと思っていましたが、そうではなかったということです。
自分の至らなさを感じています。


<< 日本人こそ、ごはんがふさわしい 蟹文様刀鍔根付 >>