昨日は母の72回目の誕生日でした。
母を自宅に招いてささやかなお食事を一緒にしました。
夕方、母を迎えにいくと孫からもらったといってランの鉢植えを嬉しそうに眺めていました。
72年の人生は決して平坦ではなかったと思います。
私の記憶の中の母は病室に寝ている姿から始まります。
面会に行けるようになって、夕食時に母からこっそりおかずを口に入れてもらったことが嬉しかった。
母のおかずを食べていたら兄から
「そんなことしたらお母ちゃんが元気になれへん!」と言って叱られたのも懐かしい思い出です。
きっとそのとき、私はそれほど悲しくもないのに泣いて甘えたと思います。
昨日誕生日のメニューはむそう塾の幸せコースで習ったものにしました。
・玄米
・カラスカレイの煮付け
・春野菜の天ぷら (たらの芽 蕗の薹 れんこん)
・鯛のおつくり
・春菊の胡麻和え
・蛤のお吸い物
・あもさんのおぜんざい
図らずも、母の病室で私が口に入れてもらったのは魚の煮付けでした。
子どもの頃の記憶って不思議です。
そんなことを鮮明に覚えているのですね。
昨日、母にそれを作りながら「色んなことがあったなぁ」と思いました。
あと何年こんな風に母に料理を作れるでしょうか。
それがたとえ明日終わってもいい。
そんな気持ちで毎日を悔いなく過ごそうと思います。
けれど母に「長生きしぃな」と言うと
「うん、わかってるけど、あんた、どっか自分がええと思うとこに行きや」と言われました。
「一緒に暮らしたらいいやん」というと
「嫌やわぁ。どっかに連れていかんといて。お母ちゃんは一人でコロコロしてるほうがええねん」
と笑っていました。
歳を重ねると人は強く、しなやかになるのですね。